有限会社 辻与製陶所 与山窯
Coporate Profille
辻与製陶所は佐賀に窯を構える、有田焼の窯元です。「与山窯」として知られ、ルーツは江戸時代・安政年間にさかのぼります。創業者・辻与介が約160年前に、現在の嬉野市吉田に窯を開きました。佐賀県有田町を中心とする有田焼産地を構成する窯の一つとして、日用食器を中心に全国に供給しています。また同時に、新しい解釈で磁器を捉えた製品ラインを展開。産地として、より狭い範囲である「肥前吉田焼」のアイデンティティー確立にも力を注いでいます。
Story
有田焼は約400年の歴史を持つ、日本最古の磁器です。海外に出荷され、積み出し港の名をとり「伊万里焼」とも呼ばれていました。色絵による様式を持つ高級美術品として珍重されるとともに、旅館や料亭での高級食器や日用食器も生産されており、幅広く親しまれてきました。有田焼産地は地域区分により内山、外山、大外山と分類されています。現在の市町村区分を越えて、各地に産地が点在しています。肥前吉田焼は大外山に位置付けられ、嬉野温泉や嬉野茶など地域資源も豊富ななか、長い歴史とともに磁器を生産し続けています。
Interview
有田焼は様式とブランドがほぼ同一化しています。一方で肥前吉田焼は様式がなく、長い歴史にかかわらず知名度がありません。だがその弱みは、真っ白なところに自由にブランディングできる強みでもあります。与山窯として有田焼を生産する一方で、2012年2月に新ブランド「224 porcelain」を立ち上げました。日用食器に特化してきた歴史の延長線上に、食卓の話題になる楽しい食器をつくりたいです。伝統と先進の技法を使いながら、自由で柔軟な発想で、産地を確立していきたいです。
Recommendation
辻与製陶所はこれまでの有田焼を踏襲する製品として、贈答用などの食器を製造する一方で、新感覚の日用食器やインテリア用品を提案して製品の幅を広げています。
同社7代目にあたる辻諭氏が立ち上げた新ブランド「224 porcelain」は、プロダクトデザイナーの馬渕晃氏と五島史士氏と共同で製作しています。白磁にダイヤ文様を深く彫った「ダイヤ彫」は、見る角度や光の当たり具合によって表情を変えます。精緻な図柄はCADと数値制御(NC)切削により、型を製作することで実現しました。伝統産業のなかでの新技術を積極的に採用します。
使い込むほどになじむ牛革のカバーとセットになったカップ「vestino」は、デザインだけでなく、保温や持ちやすさなど機能性にもこだわりを持っています。また漢数字の「一」と「七」を、そのままデザインした調味料容器や、しょうゆを注ぐとノリのように見える小皿「おにぎり」など、食卓で会話のきっかけになるようなユニークな製品がそろっています。
全国のインテリアショップをはじめ、今後は海外を含めて広く展開していきます。
有限会社 辻与製陶所 与山窯
Tsujiyo Ceramics Factory
URL: http://yozan-kiln.com/
住所: 佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4666