株式会社 甲斐絹座
Coporate Profille
2002年、山梨県内の織物企業4社によって現在の「甲斐絹座(かいきざ)」の前身となる同業種のグループを立ち上げました。設立のきっかけは県内を訪れる観光客に「地場産品としての織物製品を購入してもらいたい」という思です。しかし、当初は目的を達成することができず、関係者のアドバイスを受けることになりました。その後、3年あまり勉強会を行って出した答えが「甲斐絹の復刻と現代で通用する製品作り」です。現在は山梨県産の繭から甲斐絹を作るシステムを構築し、伝統産業の復活と若い世代への情報伝達に取り組んでいます。
Story
「甲斐絹」は約400年前にオランダ南蛮船によって伝わった先染めの絹織物。当時は海を渡って伝来したため「海気」などの文字が当てられていた。明治時代に甲斐の名産品として知名度を高める目的から現在の甲斐絹と呼ぶようになりました。江戸時代は羽織の裏地や布団地として使われ、上流階級の人々を中心に愛されました。昭和初期まで高級羽織裏地としての用途は続きますが、戦後は化学繊維の発達、用途自体の減少も相まって衰退しました。しかし、甲斐絹を作る職人の技術力と伝統産業を復刻させるという熱意は途絶えていませんでした。
Interview
今の若い人たちに良い製品の価値を分かってもらいたいです。良い製品とは価格が高いだけのモノではありません。一流のモノを見分けるには良い製品を見ることや触れられる環境が必要。私たちは良い製品を作ることで、そういった環境作りに応えていきたいと考えています。
また、正しい情報をしっかり伝えることも重要です。製品には正しい使い方があります。例えば絹は手で洗えるのに洗う人は少ないです。扱い方さえ理解できていれば、すばらしい素材なのです。正しい情報を広めれば、良い製品も使われていくと思います。
Recommendation
甲斐絹は糸の段階で精練し、限りなく撚りを入れない「先練り、無撚り」の糸を使い、独特の光沢と風合いを持っています。甲斐絹座では先染めの特徴が生きる「玉虫甲斐絹」を軸に製品展開を図っています。玉虫甲斐絹は、たて糸とよこ糸に違う色を用い、見る角度によって色が変わって見えます。約50色の種類をそろえ既存製品はネクタイ、クッション、バッグ、傘など。
新たな取り組みでは、インテリア分野への進出を図るため「hengen(ヘンゲン)」というブランドを立ち上げました。玉虫甲斐絹の特徴を生かしたランプシェード、ウォールパネルのほか、繭をイメージした木製のカプセルに入れたスカーフやパンツといった旅行時に役立つ製品も展開しています。同社は「ヘンゲン」ブランドの製品を11年にパリで行われた展示会に出品。好評を博すとともに国内外の企業との商談を成立させました。
もうひとつ柱に育てていきたいのは甲斐絹を使った教材。家庭科のキットとしてティッシュケースなどの小物などを作っています。地域の子供たちが甲斐絹に触れる機会を作り、地域の伝統産業への理解を深める手助けをしたいと考えています。
株式会社 甲斐絹座
Kaiki za
URL: http://www.kaikiza.com/
住所: 山梨県富士吉田市下吉田1503−4