有限会社 山口工芸

有限会社山口工芸

Coporate Profille

　国から越前漆器の伝統工芸士に認定されている山口怜示氏（現会長）が、１９６２年に創業しました。山口氏は箱や盆など角物の木地（漆を塗る前の木材）づくりを得意とし、山口工芸の基礎を築きました。０５年には、市橋人士氏が２代目社長に就任しました。市橋氏は木製高級雑貨ブランド「Ｈａｃｏａ」（ハコア）を立ち上げたほか、東京に直営店も開設しました。Ｈａｃｏａの売り上げを伸ばし、越前漆器業界に革新を吹き込む若手経営者のリーダー的存在となりました。

Story

　越前漆器の起こりは福井出身の継体天皇が皇子のころ、塗師に命じて作らせた約１５００年前にさかのぼると言い伝えられています。かつては漆液を採集する職人が全国の半数を占めたほどで、ほかの産地からも技法を積極的に採り入れ、発展してきました。生産額では石川県の山中、福島県の会津とともに、漆器の三大産地に数えられています。華麗な装飾よりも高い品質と耐久性を重視し、製品の多様さにも優れています。主に旅館やレストランで使う業務用に強く、全国で販路を開拓しています。

Interview

　生活の洋風化で漆器の需要は減り、やがて伝統工芸品の需要は激減し、産地は先細り、後継者問題が深刻となります。Ｈａｃｏａを立ち上げた理由には、そうした危機感がありました。当初は「産地としての伝統やしきたりを重んじろ」と周囲から反対と反発も受けました。しかし、Ｈａｃｏａブランドの知名度が上がる事で、インターネットや東京・直営店による、消費者への直接販売が主力となりました。このため、多くの若者が入社を希望して訪れています。仕事と若者を引き寄せる魅力こそが、産地を守り続ける最も大切なカギになっています。

Recommendation

　Ｈａｃｏａは木製高級雑貨ブランド。０１年４月に自社ブランドとして立ち上げました。木地づくりの伝統技法を採り入れた「アナログ」なモノづくりと、インターネット通信販売を主な販路とする「デジタル」な売り方で、こだわりのグッズを好む消費者の心をつかんでいます。
　Ｈａｃｏａは高機能携帯電話（スマートフォン）のケースやＵＳＢメモリ、キーボード等のパソコン周辺機器やインテリア、文具など、１００種類以上に上る。第１号は０３年に発売したパソコンのキーボードです。樹脂アレルギーの人からの相談にて、木で覆うキーボードの開発にチャレンジしました。これまでに３回モデルチェンジし、高価だが月間で１０台以上売れるロングセラー製品に育てあげました。
　かつては大手商社による代理店販売にてＵＳＢメモリを数万個を販売していましたが、０８年の世界同時不況後に注文が途絶えました。そこで原点に返り、毎月定例にて新製品を発表し、ラインナップを拡げています。この数年でネットと東京の直営店で消費者と直接結びつく直販スタイルを確立しました。好不況に大きく左右されず常に数カ月分の注文を抱えています。

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