ハタノワタル
Coporate Profille
「ハタノワタル」は1997年に黒谷和紙の研修生になった畑野渡さんが後に独立し、和紙職人として名乗る名称。もともと多摩美術大学で油絵を専攻していたハタノさんは、表現活動と伝統文化の継承を目指して職人の世界に飛び込びました。98年と99年にはベトナムに紙すき職人として派遣されました。和紙の素材としての魅力に光を当て、壁紙や床材、家具や器具などの什器に用いるアイデアを提案・発信しています。個展の開催や展示会への出展にも積極的で京都や東京などのほか、海外で作品の紹介も始めています。
Story
黒谷和紙は平家の落ち武者が約800年前に、子孫に残す技として始めたと伝えられています。和紙の三大原料の一つ、楮(こうぞ)の産地である京都府北部の綾部市黒谷町で産業として発展しました。紙が丈夫なため番傘やちょうちん、障子など日常的で身近な用途で使われてきたという特徴があります。現在では15人程の職人が携わっています。伝統的な手すきの技法を守り続けている純粋な手すき和紙の産地として、貴重な存在になっています。
Interview
伝統は続いてきたものであり、そこには続かせたい理由がありました。職人になって10年くらいは苦労が伝統だと思っていましたが、「和紙でこんなこともできる」といったワクワク感が必要で、常に新しい発見を見つけて発信しています。黒谷和紙は包装紙や便箋としても魅力があり、土を混ぜると色が変化したり、虫食いに強くなったりして建材に使えます。自分で絵も描いて付加価値を付けたりもしています。ほかの和紙職人や大工、左官など伝統産業に携わる人たちと連携して新しい文化をつくっていきたいです。
Recommendation
「黒谷判」と呼ばれる490㎜×390mmの伝統的なサイズの黒谷和紙を中心に手がけています。手すきで高品質に仕上げるためや、表具店などのプロの職人が使いやすいサイズとして受け継がれてきました。ハタノさんは「伝統の良さを伝えたい」とこだわりをみせています。
黒谷和紙になじみのない人には優先して黒谷判を紹介しています。和紙を使ってみたいが、使い方が分からない若い世代などに展覧会などを通じて、例えば水をはじく強度などを教えて使い方のアイデアも提示しています。
黒谷判は壁紙やテーブル表面の素材、ガラスコーティングして浴槽に張るなど内装全般の空間プロデュースなどにも力を入れています。いろいろな職人たちと協力し、顧客の要望を逃さないようにしています。
一方で、用途により最大サイズは147㎝×72㎝まで対応します。ある寺院からは「300年間使える襖(ふすま)をつくりたい」という要望があり、襖絵を含めて制作しています。
ハタノワタル
Hatano Wataru
URL: http://www.hatanowataru.org/
住所: 京都府綾部市篠田町下岡21